2026年度 第18回レーザー学会産業賞の受賞者が決まりました
第18回レーザー学会産業賞が下記のとおり決定しましたので,受賞理由と共にお知らせいたします.
レーザー学会産業賞の概要
レーザーに関する製品・技術の開発,実用化,普及などにおいて,国内のレーザー関連産業の発展に貢献しうる優秀なものに対し,本会賛助会員に産業賞を授与する.
レーザー関連の産業技術として技術および市場実績を重視した『優秀賞』,市場の開拓および将来性を重視した『奨励賞』,および優れた基礎的技術または長年の累積的貢献を重視した『貢献賞』を贈呈する.また,上記3賞に加えて,レーザー産業への貢献の期待の特に高いものに対して『選考委員特別賞』を贈呈する.
今回は質の高い応募申請内容が揃っており,慎重に検討を重ねた結果,7件を選考しました.
I.優秀賞 [敬称省略]「外部共振器型波長可変レーザー (TSLシリーズ)」
santec LIS株式会社
本製品は,装置・システムに関するものです.同社が開発した外部共振器型波長可変レーザー(TSLシリーズ)は,1988年に世界で初めて半導体レーザーを用いた外部共振器型波長可変レーザーとして実用化されて以来,継続的な改良により高性能化と高信頼性を実現してきました.また,長年にわたる実用化と普及を通じて,国内外のレーザー関連産業の発展に大きく貢献してきました.広帯域かつモードホップフリーな波長可変特性,高速掃引,高出力,狭線幅,高安定性を両立し,光通信分野を中心に世界トップクラスの市場シェアと販売実績を達成しています.これらの技術的完成度の高さと産業界への顕著な貢献を高く評価し,優秀賞の授与がふさわしいと判断しました.
「光改質技術を応用したスーパーハードコート」
株式会社レニアス
本成果は,応用に関するものです.同社が開発した光改質技術を応用したスーパーハードコートは,産業分野におけるレーザー応用技術として高い独自性と有効性を兼ね備え,製品化と普及を通じて関連産業の発展に貢献してきました.本技術は,シリコーン系ハードコート表面を大気圧下でシリカガラス組成へ改質する独自技術により,従来技術では困難であった高い耐摩耗性と密着性の両立を実現しました.さらに,ポリカーボネート樹脂窓における厳しい耐摩耗要求への対応を可能とし,建設機械や林業機械分野での採用拡大と製品の長寿命化に大きく寄与しています.また,大学における基礎研究成果を産業技術として社会実装した点も高く評価され,優秀賞の授与がふさわしいと判断しました.
II.奨励賞 [敬称省略]「高出力ファイバーレーザ発振器「ENSIS-26000」」
株式会社アマダ
本製品は,装置・システムに関するものです.同社が開発した高出力ファイバーレーザ発振器「ENSIS-26000」は,ビーム品質を維持したまま高出力化を可能とする独自技術を搭載し,板金加工分野における生産性および加工品質の向上に新たな可能性を示しました.シングルモジュール高出力化,高輝度維持合波技術,およびビーム制御技術を組み合わせることで,従来の出力向上に伴うビーム品質低下の課題を克服し,中厚板加工における高速化と高品質化を両立しています.本技術は市場ニーズに合致した将来性の高い技術革新であり,今後の普及と発展が期待される点を高く評価し,奨励賞の授与がふさわしいと判断しました.
「OneShotBRDFTM光学検査技術」
株式会社東芝,東芝情報システム株式会社,東芝テリー株式会社
本成果は,装置・システムおよび応用に関するものです.同社が開発したOneShotBRDF™光学検査技術は,反射光の方向分布(BRDF)をワンショット撮像により色として符号化・可視化する独自原理を確立し,従来困難であったマイクロメートル以下の微小欠陥やナノレベルの表面形状を,高速かつ非接触で定量評価可能としました.さらに,デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を用いた動的フィルター制御技術と組み合わせることで,検査対象に応じた柔軟な光学検査・計測を実現しています.本技術は,外観検査,自動検査,三次元計測分野に新たな枠組みを提示するとともに,学術的成果を基盤とした産業応用としての将来性も高く評価され,奨励賞の授与がふさわしいと判断しました.
Ⅲ.貢献賞 [敬称省略]「テラヘルツ波活用に向けた研究開発と関連製品群」
浜松ホトニクス株式会社
本事業は,光科学技術および産業への貢献に関するものです.同社は,テラヘルツ波検出器,テラヘルツ波分光分析装置,およびテラヘルツ波長板といった要素技術を体系的に開発・製品化し,これまで産業応用が困難であったテラヘルツ波領域における実用化基盤を構築してきました.電界電子放出を利用した高感度検出技術や,通常環境下での安定計測を可能とする分光技術,広帯域偏光制御を実現する波長板技術は,学術研究から産業応用まで幅広く活用され,日本の光産業の技術基盤強化に大きく寄与しています.これらの成果は国際的にも高い評価を受けており,テラヘルツ波応用分野における我が国の国際競争力向上に貢献している点を高く評価し,貢献賞の授与がふさわしいと判断しました.
「レーザーを中心とした金属積層造形技術の普及とトータルソリューションによる産業貢献」
愛知産業株式会社
本事業は,光科学技術および産業への貢献に関するものです.同社は,レーザーを中核とした金属積層造形(AM)技術について,レーザー,電子ビーム,アークなど複数の熱源方式や造形プロセスを体系的に導入・活用し,装置導入から造形条件最適化,材料選定,品質評価に至るまでのトータルソリューションを通じて,国内におけるAM技術の実用化と普及を継続的に支援してきました.これらの取り組みは,航空宇宙,自動車,エネルギー分野をはじめとする幅広い産業分野での応用展開を促進し,日本の製造業およびレーザー産業の技術基盤強化に大きく寄与しています.また,海外先端技術の導入と国内展開,人材育成を含む長期的な普及活動を通じて,我が国のAM分野における国際競争力向上に貢献している点を高く評価し,貢献賞の授与がふさわしいと判断しました.
「フェムト秒レーザー光源キットによる学術研究の加速および産業への貢献」
株式会社光響
本事業は,光科学技術および産業への貢献に関するものです.同社は,フェムト秒レーザーを研究者自らが導入・活用可能な光源キットを提供し,その広範な普及を通じて先端光科学研究の裾野を大きく拡大するとともに,多数の研究成果の創出を支えてきました.また,光源キット開発で培われた技術基盤をもとに,次世代半導体材料やエネルギー分野に向けた微細レーザー加工システムの実用化を推進し,産業応用への展開を着実に進めています.学術研究の加速と産業技術への橋渡しを両立させたこれらの継続的な取り組みは,日本のレーザー産業の技術基盤強化および国際競争力向上に大きく貢献しており,貢献賞の授与がふさわしいと判断しました.
以上
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