2023年度 第15回レーザー学会産業賞の受賞者が決まりました

第15回レーザー学会産業賞が下記のとおり決定しましたので,受賞理由と共にお知らせいたします.

 

レーザー学会産業賞の概要

レーザーに関する製品・技術の開発,実用化,普及などにおいて,国内のレーザー関連産業の発展に貢献しうる優秀なものに対し,本会賛助会員に産業賞を授与する.

レーザー関連の産業技術として技術および市場実績を重視した『優秀賞』,市場の開拓および将来性を重視した『奨励賞』,および優れた基礎的技術または長年の累積的貢献を重視した『貢献賞』を贈呈する.

 

今回は応募申請件数が少なかったにもかかわらず全体的に応募申請内容の質が高く甲乙つけがたいものが多く,4件を選考しました.

 

I.優秀賞 [敬称省略]

「紫外線除菌技術Care222®

ウシオ電機株式会社

同社は波長222nmの紫外線の殺菌効果と人体に対する安全性が極めて高いことに着目して光源開発に取り組み,人体皮膚に対する安全性を世界で初めて実証した.さらに,新型コロナウイルスへの効果も実証し,Care222®搭載ランプモジュールをタイムリーに製品展開した.人体に悪影響を及ぼさない紫外線というこれまでの常識を破る画期的な製品であり,大きな累計販売実績があることは高く評価される.また,安全基準の観点から第三者機関の評価を元にしており安全性の配慮が十分なされている.さらにUV領域の規格改定にも寄与しており学術的な議論の活性化にも寄与している.今後の成長も大いに期待される.よって,優秀賞を授与する.

 

II.奨励賞 [敬称省略]

「三次元ファイバーレーザー加工機 FVシリーズ」

三菱電機株式会社

自社製ファイバーレーザー発振器に,独自の両持ちガントリー構造と一点指向加工ヘッドを組み合わせることで高速,高精度加工を実現した.さらに,新開発となる三次元高速制御により加工軌跡の無駄を削減することで加工時間を短縮することで生産性を向上させた.三菱電機の高い技術がいたるところに実装された最高級レーザー加工機である.また,レーザー発振器の5年保証などマシンダウンリスクを限りなく抑制し信頼性を高めているところも高く評価できる点である.グローバルにチャレンジングな出荷が計画されており,今後の市場シェア獲得に期待できる.よって,奨励賞を授与する.

 

 

Ⅲ.貢献賞 [敬称省略]

「レーザー保護製品の拡充とユーザ環境充実に向けた安全啓発活動の拡大」

山本光学株式会社

近年のレーザー出力の向上,波長領域の多様化,さらには応用分野の広がりによりレーザーが使用されるフィールドが多様化する中で,レーザー安全のための保護製品の開発および精力的な安全活動は特筆すべきである.技術的な観点では,OD値が8以上を有する製品開発に加え,レーザー防護シールド,レーザー防護カーテン,作業性向上を考慮した各種の保護手袋の新製品を開発した.啓発活動については,セミナーを頻繁に実施することでレーザー保護具の適切な選定に寄与し,またレーザー管理区域の漏れを計測する光環境測定サービスも手掛けている.今後もレーザーの安全利用のための精力的な活動を期待できることから,貢献賞を授与する.

 

 

「ジョブ事業を通じての産業界へのレーザー焼入れ技術の適用拡大による貢献」

富士高周波工業株式会社

同社はジョブショップとしてレーザー焼入れ加工を受託して自動車関連を中心とした製造業に対してレーザー焼入れ技術を普及させた.高周波焼入れのノウハウをレーザー焼入れに生かし独自の技術を展開している.また,積極的に産学連携の枠組みを活用しており新技術による産業界への貢献は評価に値する.今後,CO2排出削減の社会的課題に対して熱処理工程の高度化がさらに求められることが予想される.その点において,ものづくりへの貢献ということで高く評価できる.よって,貢献賞を授与する.

以上