2022年度 第14回レーザー学会産業賞の授賞者が決まりました

2022年度 第14回レーザー学会産業賞が下記のとおり決定しましたので,受賞理由と共にお知らせいたします.

レーザー学会産業賞の概要

レーザーに関する製品・技術の開発,実用化,普及などにおいて,国内のレーザー関連産業の発展に貢献しうる優秀なものに対し,本会賛助会員に産業賞を授与する.

レーザー関連の産業技術として技術および市場実績を重視した『優秀賞』,市場の開拓および将来性を重視した『奨励賞』,および優れた基礎的技術または長年の累積的貢献を重視した『貢献賞』を贈呈する.

今回は全体的に応募申請内容の質が高く,甲乙つけがたいものが多く,6件を選考しました.

I.優秀賞 [敬称省略]

「光コム距離計/光コム形状測定器(L90,S40,M5)」 株式会社XTIA

光コムを用いた測距技術を開発し,2016年に長距離・高精度・高速を両立した計測器の産業向け製品として3次元形状測定器インライン検査装置をリリースしており,各自動車メーカーにおいては部品の全数検査を実現している.本装置の特徴はファブリペロー電気光学変調器(FP-EOM)と呼ばれる外部変調器を使う方法を採用し小型モジュール構造のデバイスとして装置に組み込み,周波数間隔の異なる光コムを複数発生させることで,位相雑音を相殺し90mまでの距離計測であれば7μmまでの測定誤差を達成している.外観検査市場における販売数量及び金額で高いシェアを有しており,今後,中大型部品の検査において8割を占める人による官能検査の置き換えが期待できる.よって,優秀賞を授与する.

 

「テラヘルツ分光・イメージング・システム TAS7500シリーズ」 株式会社アドバンテスト

テラヘルツ波の発生と検出に自社製フェムト秒ファイバーレーザーを2台用い,これらの繰り返し周波数と位相を光・電子制御技術によって高精度に制御することで,サブピコ秒のテラヘルツパルス波形を高速・低ジッタで測定できるテラヘルツ分光・イメージング・システムである.更に,非線形結晶を用いた独自の広帯域テラヘルツ発生器を製品化している.2012年の販売開始以来,日本やアジア及び欧米では,産業用途向けテラヘルツ応用製品として高い実績と評価を得ている.今後も次世代無線通信(Beyond5G)市場で大きく拡大し,また非破壊・非侵襲の特性を活かした非破壊検査市場,医療診断装置などの市場創出が期待されており,テラヘルツ研究をリードする理化学研究所を始め産学連携を通して技術の蓄積を進めている点なども高く評価できる.よって, 優秀賞を授与する.

II.奨励賞 [敬称省略]

「REGIUS AJ SERIES」 株式会社アマダ

自社製ファイバーレーザー発振器は独自のビーム制御技術を搭載し,世界最速(340m/分)駆動のリニアモータドライブによる3軸リニア制御と合わせることで,素材・形状に応じて自動最適加工を実現するファイバーレーザー加工機である.更に,カメラによるAI判定機能が高精度に自己診断を行う事によるダウンタイムゼロなども実現することで,高い生産性による産業分野への貢献が大きいと言える.2020年12月からの販売開始後,国内への展開はもとより,海外市場へも展開している製品であり,DX(デジタル・トランフォーメーション)と親和性の高いこれら自動化技術による生産性向上が期待できる.よって,奨励賞を授与する.

「RICOH FC-LDA Printer」 株式会社リコー

ペットボトル商品のラベルにQRコードを直接マーキングすることもできる高出力レーザーマーカーとして,2021年6月から発売が開始されている.特徴は,従来のガルバノスキャナ方式ではなく,独立制御された192チャンネルの10Wの半導体レーザー(LD)をアレイ状に並べてレーザーマーキングをするものであり,画像やバーコード,QRコードといった複雑形状の高速印字を可能としている.これにより高速生産ラインへの導入を実現しており,食品や製品のトレーサビリティへの展開が期待されている.今後は,高出力LDを多チャンネルに独立・高速精密制御できることからレーザー溶接への応用やLIFT(Laser-Induced Forward Transfer)への応用が期待できる.よって,奨励賞を授与する.

Ⅲ.貢献賞 [敬称省略]

「高品質単結晶及びレーザー光源による国内の科学技術およびレーザー産業への貢献」 株式会社オキサイド

株式会社オキサイドは,2000年の創業以来,固体レーザーのコアになる単結晶育成技術を保有する希少な企業として,多種多用かつ高品質なレーザー用単結晶の開発と製品化を実施している.最近ではレーザーの製造販売にも業態を拡げ,レーザーの産業用途の拡大に加え,世界の先端的半導体の量産・市場拡大等に大きく貢献している.今後のレーザー業界のみならず光関連産業への貢献が期待できることから,貢献賞を授与する.

「車載用2次電池へのレーザー溶接技術の適用」 プライムアースEVエナジー株式会社

1996年の創業以来,車載用の二次電池を主力製品としており,レーザーを用いた高速且つ高品位な封かん溶接を開発,適用を検討してきた.本技術は,半導体レーザー(高吸収率)とファイバーレーザー(高集光性)を同軸状に合成して溶接する方式であり,半導体レーザーで形成した溶融池の中心にファイバーレーザーを重畳し湯流れを形成,キーホールの形成無しにすることで,スパッタレス且つ高い生産性を実現するものである.二次電池の製造は現在の世界情勢の流れに沿って飛躍的な拡大が見込まれ,更には車載用に限らない二次電池製造への応用が期待でき,脱炭素社会実現に向けた貢献も期待できる.よって,貢献賞を授与する.

以上